やがて春が来るまでの、僕らの話。
「カッシーのこと考えてる時、いつも同じ顔してる。バレんのも時間の問題だな、そんなんじゃ」
「、…」
本当に時間の問題かもしれないって、そう思った。
だって隠し通せる気がしない。
諦めるはずなのに、席まで隣になっちゃうし、なんか、もう……
「俺も隣がよかったなー」
「…隣?」
「そしたらイチャイチャできたじゃん?」
だるそうに姿勢悪く座る若瀬くんは、天井を見たまま目を閉じた。
「なんて。だったら今イチャイチャすればいい話なんだろうけど」
ソファーの上で、二人の微妙な距離は開いたまま。
「お前といると、緊張してなんもできねぇ」
ねぇ若瀬くん。
どれだけ感謝しても足りないくらい、若瀬くんには本当に救われていたんだよ。
若瀬くんがいなかったら、私はきっと学校にも行けなくなっていたから。
ねぇ。
今どこで、何をしていますか?
笑えていますか?幸せでいますか?
それとも今もまだ、あの日のことを忘れられずにいますか…?
私は今も、みんなの夢を見るよ。
真っ白な雪の下で笑う、
みんなの夢を……