やがて春が来るまでの、僕らの話。
「つーか志月くんが本気で付き合ってるとでも思ってんの?」
「どうせ遊ばれてんでしょ」
「早く気づけよバーカ」
なんでそんなこと……
「谷さんて、遊ぶには丁度良さそうな相手だもんね」
「言えてるー」
なんでそんなこと言われなきゃ、
「くらーい過去がある女って、遊びやすそうだもんねー」
「、…」
暗い……過去?
「そうそう、ちょっと優しくしたらすぐその気になりそうだし」
「お父さんに暴力振るわれてぇ、逃げるために必死でぇ、そのためなら他人が死んでも構いませーんって感じなんでしょ?」
「、…」
なに、
やめてよ……
「あははっ、超最悪じゃん」
やめて……
「大人しい顔してすげぇ自己中。サイアクー」
「被害者かわいそー」
「谷さん、犯罪者じゃーん」
やめて……
「マジでさ、よく平気な顔で暮らせるよね。私なら死んで詫びるくらいするわ」
やめてよ……
「いいこと教えてあげる。小さい町って噂広がるの超早いんだよ」
「この町に居られなくなるのも時間の問題かもねー」
「次の学校に転校しても頑張ってねぇ?」
キーンコーンカーンコーン
「あ、次音楽室じゃん?」
「行こ行こー」
ガラガラ……パタン