やがて春が来るまでの、僕らの話。
肩ぐらいの髪の毛の女子生徒。
目がクリクリしていて、小柄な柏木くんよりももっと小柄で、細くて小さい子。
「喜べ陽菜、お前の彼氏、巷じゃ有名らしいぞ」
「巷ってどこ~」
「少なくとも昨日は俺と谷さんの間だけだったけど。ね?」
返答を迫るような若瀬くんの語尾と共に、三人の視線が私に向いた。
この会話、私も参加していいのかな?
参加していいから、三人ともこっちを見てる?
「あの、えーと……うん、昨日限定で」
人見知り過ぎて、三人の顔はうまく見れなかった。
だけど、聞こえてきた笑い声に私の顔は自然と上がる。
「あははっ、昨日限定とかひで全然有名じゃないし」
「うるせーぞコラ」
三人が楽しそうに笑ってる。
離れた場所じゃなくて、目の前で。
これって、もしかして……
「あ、あの!」
もしかして、この三人になら私の声、届くんじゃない?