やがて春が来るまでの、僕らの話。



あーあ、噂ってほんと恐いよね。

広がれば広がるほど中身が変わる。

面白いように、恐ろしい様に、醜く変化を遂げていく。



「はは、なにそれ。笑えるんだけど」


笑いだした俺を不思議そうに見る三人。

だって笑えるでしょ、あまりに話が違いすぎて。

誰かの企みなのか、それとも自然現象なのか。

そんなことはどっちだっていい。

大事なのは、真実を知っている奴らがいること。

それが一番大事でしょ?



「教えてやろうか、ほんとの話」



そこまで噂が広がってんなら、もう隠す必要もない。

それにこんな形を変えたデマを聞いても、陽菜はハナエの為に怒った。

あいつの為にムカデとまで戦った。

それってハナエのこと信じてるってことでしょ?

そんな奴になら、本当のこと教えてもいいと思うんだ。


なぁ、いいよな、話しても……


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