やがて春が来るまでの、僕らの話。
・
・
・
「ハァ、ハァ……」
見ぃつけた。なんて可愛い声も出やしない。
息が苦しすぎて声すら出ない。
でも見つけた。
やっと見つけた。
やっと……
「大吉だった?」
正常な息もままならないうちに、おみくじを引いてる後ろ姿に声を掛けた。
ビクッと肩を揺らしたハナエが、静かに振り向く。
「……柏木くん?」
すっかり暗くなった空の下でも分かるほど、ハナエの目は赤く腫れていた。
「大吉だった?」
握るおみくじに視線を向けて、もう一度尋ねる。
「末吉と小吉と吉が二枚と……凶が一枚」
「クッ……」
どんだけ引いてんだよ!って突っ込みと同時に、凶って言葉にも吹いてしまった。
しかも結局大吉はなしって、かなり笑える。
「……ひどい、笑いやがって」
「つーか凶ってどうやったら引けんだよ」
「うるさいな、なんでいるの」
イライラしているのか、いつもより乱暴な言葉と共にハナエは俺に背を向けた。
・
・
「ハァ、ハァ……」
見ぃつけた。なんて可愛い声も出やしない。
息が苦しすぎて声すら出ない。
でも見つけた。
やっと見つけた。
やっと……
「大吉だった?」
正常な息もままならないうちに、おみくじを引いてる後ろ姿に声を掛けた。
ビクッと肩を揺らしたハナエが、静かに振り向く。
「……柏木くん?」
すっかり暗くなった空の下でも分かるほど、ハナエの目は赤く腫れていた。
「大吉だった?」
握るおみくじに視線を向けて、もう一度尋ねる。
「末吉と小吉と吉が二枚と……凶が一枚」
「クッ……」
どんだけ引いてんだよ!って突っ込みと同時に、凶って言葉にも吹いてしまった。
しかも結局大吉はなしって、かなり笑える。
「……ひどい、笑いやがって」
「つーか凶ってどうやったら引けんだよ」
「うるさいな、なんでいるの」
イライラしているのか、いつもより乱暴な言葉と共にハナエは俺に背を向けた。