獅子に戯れる兎のように
【15】兎の思う結婚の順序
―七月中旬―
あれから寮の食堂の窓際の席は、再び私の指定席となった。
日向は窓際の席に座ることはなく、吉倉と仲良く朝食や夕食を同席するようになった。
私と日向の噂は、いつの間にか社内で囁かれることもなくなり、代わりに吉倉と日向の噂が流れた。
――昼休み、食堂でいつものように四人で食事をする。
「吉倉さんと日向さんの噂、アレは吉倉さん自分で流しているんだよ」
陽乃の言葉に、美空は「バカみたい」と笑った。
食事をしていた留空が突然口をハンカチで押さえ、席を立つ。
「留空?どうしたの?」
席を立ち食堂を飛び出す留空を、私は追いかける。トイレに飛び込んだ留空は、ゲーゲーと嘔吐してる。
「留空、大丈夫なの?まさか食中毒!?」
トイレのドアの前で、私は留空に声を掛ける。
水の流れる音がしドアが開いた。
留空の顔は真っ青だ。
「留空、大丈夫?今日は早退して病院行った方がいいよ」
「……柚葉。もう病院行ったの」
「やだ、だったら無理せず休めば良かったのに」
「病気じゃないから……」
「病気じゃないって?そんなに体調悪いのに……」
留空が私に視線を向けた。
「まだ……望月さんには話してないの。家族にも……話してないの」
留空の不安な眼差しに、鈍感な私も察しがついた。
「留空……もしかして妊娠してるの?」
留空はコクンと頷いた。
初体験から暫く連絡のなかった望月と、一ヶ月後、再び肉体関係を持ったと消え入りそうな声で告白した。
あれから寮の食堂の窓際の席は、再び私の指定席となった。
日向は窓際の席に座ることはなく、吉倉と仲良く朝食や夕食を同席するようになった。
私と日向の噂は、いつの間にか社内で囁かれることもなくなり、代わりに吉倉と日向の噂が流れた。
――昼休み、食堂でいつものように四人で食事をする。
「吉倉さんと日向さんの噂、アレは吉倉さん自分で流しているんだよ」
陽乃の言葉に、美空は「バカみたい」と笑った。
食事をしていた留空が突然口をハンカチで押さえ、席を立つ。
「留空?どうしたの?」
席を立ち食堂を飛び出す留空を、私は追いかける。トイレに飛び込んだ留空は、ゲーゲーと嘔吐してる。
「留空、大丈夫なの?まさか食中毒!?」
トイレのドアの前で、私は留空に声を掛ける。
水の流れる音がしドアが開いた。
留空の顔は真っ青だ。
「留空、大丈夫?今日は早退して病院行った方がいいよ」
「……柚葉。もう病院行ったの」
「やだ、だったら無理せず休めば良かったのに」
「病気じゃないから……」
「病気じゃないって?そんなに体調悪いのに……」
留空が私に視線を向けた。
「まだ……望月さんには話してないの。家族にも……話してないの」
留空の不安な眼差しに、鈍感な私も察しがついた。
「留空……もしかして妊娠してるの?」
留空はコクンと頷いた。
初体験から暫く連絡のなかった望月と、一ヶ月後、再び肉体関係を持ったと消え入りそうな声で告白した。