獅子に戯れる兎のように
「プロポーズ断って正解だよ。元カノと同じ課の女子とこれ見よがしに付き合うような男、サイテーだよね」
美空は強い口調で虹原を斬り捨てた。
確かにそのとうりだが、そう仕向けたのは私だ。
「ていうか、新しい社員がいるね。虹原さんが邪魔で顔が見えないな。彼が大阪から転勤してくる噂の社員でしょう。総務部経理財務課に配属されたんだよね。柚葉、なかなかイイね」
陽乃はもう彼に目を付けている。男性の後ろ姿だけでイイかどうか判断出来るなんて、ある意味凄い。
この眼力は受付嬢ならでは。
「顔はよく見てないけど、山川さんがいうにはイケメンみたいよ。山川さんと同期だって」
「ふーん、年下か。たまには年下君も悪くないわね。私、挨拶してこようかな。虹原さんとは同期だし」
「陽乃、よしなよ。そんなにガツガツしなくても、男に不自由してないでしょう。すぐに新しいオモチャを欲しがるんだから」
「美空、柚葉がイケメンだっていうから、どの程度か確かめたかっただけよ」
やだ、私のせい?
美空にたしなめられ、陽乃は母親に叱られた子供みたいに口を尖らせ、渋々サンドイッチを口に運ぶ。
「美空みたいに尖っていたら、男はみんな逃げちゃうよ」
「私はキャリア目指してるの。男は出世の邪魔よ。性別が男というだけで、女よりも管理職につける確率が上がるなんて不平等だわ。男も女も能力で評価されるべきよ」
美空は鼻息も荒く、持論を展開する。
「ああ面倒臭い。管理職なんて男にやらせとけばいいじゃない。女は有能な男と結婚し、楽をして甘い蜜を吸う。それが女の特権よ。自分が汗を流し、あくせく働く必要なんてないわ」
美空と陽乃の性格は正反対。
それでもこうして昼食を共にし、いつも口喧嘩となる。
留空はマイペースで喧嘩に加担することも、仲裁することもない。
キャリアも男性も興味がないのだ。
――私と同じだな。
私は二人を見ていられなくて、つい仲裁してしまうけど、キャリアも婚活も私には縁遠い。
美空は強い口調で虹原を斬り捨てた。
確かにそのとうりだが、そう仕向けたのは私だ。
「ていうか、新しい社員がいるね。虹原さんが邪魔で顔が見えないな。彼が大阪から転勤してくる噂の社員でしょう。総務部経理財務課に配属されたんだよね。柚葉、なかなかイイね」
陽乃はもう彼に目を付けている。男性の後ろ姿だけでイイかどうか判断出来るなんて、ある意味凄い。
この眼力は受付嬢ならでは。
「顔はよく見てないけど、山川さんがいうにはイケメンみたいよ。山川さんと同期だって」
「ふーん、年下か。たまには年下君も悪くないわね。私、挨拶してこようかな。虹原さんとは同期だし」
「陽乃、よしなよ。そんなにガツガツしなくても、男に不自由してないでしょう。すぐに新しいオモチャを欲しがるんだから」
「美空、柚葉がイケメンだっていうから、どの程度か確かめたかっただけよ」
やだ、私のせい?
美空にたしなめられ、陽乃は母親に叱られた子供みたいに口を尖らせ、渋々サンドイッチを口に運ぶ。
「美空みたいに尖っていたら、男はみんな逃げちゃうよ」
「私はキャリア目指してるの。男は出世の邪魔よ。性別が男というだけで、女よりも管理職につける確率が上がるなんて不平等だわ。男も女も能力で評価されるべきよ」
美空は鼻息も荒く、持論を展開する。
「ああ面倒臭い。管理職なんて男にやらせとけばいいじゃない。女は有能な男と結婚し、楽をして甘い蜜を吸う。それが女の特権よ。自分が汗を流し、あくせく働く必要なんてないわ」
美空と陽乃の性格は正反対。
それでもこうして昼食を共にし、いつも口喧嘩となる。
留空はマイペースで喧嘩に加担することも、仲裁することもない。
キャリアも男性も興味がないのだ。
――私と同じだな。
私は二人を見ていられなくて、つい仲裁してしまうけど、キャリアも婚活も私には縁遠い。