私の光になってくれて、ありがとう

高良光（たからひかり）はドキドキしながら病院から帰っていた。何度も銀色の指輪をはめた手でお腹を撫でる。結婚して三年。ついにこの時がやって来た。

「おかえり。もうご飯作ったよ。……病院で何て言われたの？」

光が家に入ると、旦那である高良尚（たからなお）が姿を見せる。その顔はどこか緊張しているようだ。

「ご飯作ってくれてありがとう。ご飯を食べながら話すよ」

「わかった」

リビングに行くと、テーブルの上には二人の好きな肉じゃがが湯気を立てている。

「わあ、おいしそう！ありがとう」

光が笑うと、尚も「喜んでくれて嬉しい」と笑う。そして二人は席につき、ご飯を食べ始めた。

最初は光は「おいしい！」と言いながら肉じゃがを頬張っていた。しかし、言わなければならないと覚悟を決めて箸を置く。尚の顔も真剣なものに変わった。

「私、赤ちゃんができた。二ヶ月だって」

光はそう言い、病院でもらったエコー写真を尚に見せる。そこにはまだ小さな命が写っていた。