小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
 ジェナは悪魔を呼び出して、ハルティーリアを滅ぼす気だったのか。なんて恐ろしい計画を立てるんだろう。まあでも、何百年も前に国を追い出された恨みを忘れない一族の末裔ならば、そこまで陰湿な計画を立てても不思議じゃないのかもしれないけど。

 『情念のサクリファイス』の世界では、やがてレオと親しくなったローレンが、彼の腕に書かれた文字に気づき、それが魔術であることを知るらしい。

「なんでローレンは古代文字で書かれた呪文が分かるの?」

「うちは交易商だから、魔術書なんかも置いてあって、小さい頃から見たことがあるの。それに、小説では後半に判明するんだけど、母親がリトルウィック出身で、ローレンには巫女姫の血が交じっているの。だから私には魔力があるわけ」

「なるほど」

 ローレンは家にある魔術書を調べ、呪いの詳細を知った。それで彼に死の危険があることを知って、なんとかしてレオを助けようとする。が、レオに近づこうとするとリンネに阻まれてしまう。

 一方のレオは、リンネのあまりに傍若無人なふるまいに腹を立て、ローレンを助けるようになる。そして、いつしかふたりは心を通わせるようになるのだ。

 卒業の日、レオはリンネへ婚約破棄を言い渡す。
 嫉妬に狂ったリンネは、ローレンを殺害しようとナイフを振りかざした。レオが彼女を庇い、ケガをしたのはリンネの方だったが、彼女の血がレオの胸に降りかかり、魔法陣に血を吸わせてしまう。

 レオは突然苦しみだし、ローレンは魔術の進行に気づいた。
 このままでは彼が死んでしまうと思ったとき、ローレンは巫女姫の力を覚醒させるのだ。
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