小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
 それからも、私とローレンによる『レオとローレンを引き合わせよう作戦』は頻繁に行われたが、なぜか思うような結果がついてこない。現在、私達は顔を付き合わせて反省会である。

「どうしてこんなにレオ様とお話しできないの……!」

「小説ではどうだったの」

「小説では、途中からは積極的に助けに来てくれたのに」

 普段しつこく寄ってくるリンネに辟易していたこともあって、リンネがローレンをいじめているとローレンをかばい、リンネから嫌われようとわざとローレンに肩入れする姿を見せていたのだという。

「……じゃあ、まず私が嫌われればいいのか。レオが嫌だと思うまで引っ付いてこればいい?」

「いや待って。今の感じだと、それ、逆効果にしかならない気がする」

 ローレンはすごく嫌そうな顔をして、渋々と口を開いた。

「信じたくはないけど、今のレオ様はあんたのことが結構気に入っているのよ、たぶん」

「まあ、友達だもんねぇ」

「友達って……婚約者にまでなっておいて……」

「ん?」

「いいえ。何でもないわ」

 いろいろ含みのある言い方をされるけれど、通じないからはっきり言ってほしい。私は勘がいい方ではないのだ。

 ローレンは吹っ切れたように笑顔になると、私の目の前に人差し指を突き立てる。

「ちょっと方法を変えてみよう。いじめられてても助けてもらえないんなら、逆に考えて、私とリンネが仲良しって方向から攻めたほうがいいんだよ、きっと」

「なるほど? 具体的には?」

「そうね……。例えば、私の勉強を見てくれるよう頼んでくれる、とか」

「勉強?」

「そう、実は……ついていくの大変なんだよね。前の学校より進んでいるし」

「なるほど。やってみようか」

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