小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
「そんな……」
そこでこれまで黙っていたレットラップ子爵が口を開く。
「……お嬢さんはローレンとお友達なのかな? ローレンがリトルウィックとのハーフだと、どうして知っているんだい?」
「あ! えっと、それは……」
「私が言ったのよ、お父様」
いぶかしがるレットラップ子爵に、ローレンが庇ってくれた。けれど今度はローレンが詰め寄られている。
「おまえはいつ知ったんだ。母親がリトルウィック人だと」
「家にあれだけ魔導書があれば分かるわよ」
レットラップ子爵は焦ったようにクロードに弁明し始める。
「……たしかに、妻はリトルウィック王家の傍系の出身です。けれど駆け落ち同然で出てきたのですから、今は全く交流などなく。情報の横流しなどしておりません!」
どうやら、クロードに疑われるのを懸念しているようだ。
まあ、今リトルウィックとは全く国交のない状態なのだから、スパイって可能性もないではないのか。
「心配なさらなくても、大丈夫ですよ、子爵。あなたのことはちゃんと調べてあります」
さらっと、クロードが怖いことを言った。まあ、レオの呪いは国家の秘密だ。誰にでも明かされていいものではない。
レットラップ子爵はホッとしたように息を吐きだすと、笑顔になった。
「では信用していただいているということでひとつ助言を。呪文を重ねがけする場合、術者はなるべく最初にかけた人間の属性に近いほうが馴染むものです。また、刺青をするインクには、術者の血を混ぜるのが通例です。元の術者に近づけるという意味では、リンネ様の血を混ぜるよりも、リトルウィックの血を引く我が娘の血を混ぜたほうがいいかもしれません。そうすれば、刺すのがリンネ様でも、馴染む率は上がるかもしれません」
「ええっ」
そこに驚いたのはローレンだ。まあ、突然血を混ぜろとか言われたら、私だって多分ビビるけれど。
そこでこれまで黙っていたレットラップ子爵が口を開く。
「……お嬢さんはローレンとお友達なのかな? ローレンがリトルウィックとのハーフだと、どうして知っているんだい?」
「あ! えっと、それは……」
「私が言ったのよ、お父様」
いぶかしがるレットラップ子爵に、ローレンが庇ってくれた。けれど今度はローレンが詰め寄られている。
「おまえはいつ知ったんだ。母親がリトルウィック人だと」
「家にあれだけ魔導書があれば分かるわよ」
レットラップ子爵は焦ったようにクロードに弁明し始める。
「……たしかに、妻はリトルウィック王家の傍系の出身です。けれど駆け落ち同然で出てきたのですから、今は全く交流などなく。情報の横流しなどしておりません!」
どうやら、クロードに疑われるのを懸念しているようだ。
まあ、今リトルウィックとは全く国交のない状態なのだから、スパイって可能性もないではないのか。
「心配なさらなくても、大丈夫ですよ、子爵。あなたのことはちゃんと調べてあります」
さらっと、クロードが怖いことを言った。まあ、レオの呪いは国家の秘密だ。誰にでも明かされていいものではない。
レットラップ子爵はホッとしたように息を吐きだすと、笑顔になった。
「では信用していただいているということでひとつ助言を。呪文を重ねがけする場合、術者はなるべく最初にかけた人間の属性に近いほうが馴染むものです。また、刺青をするインクには、術者の血を混ぜるのが通例です。元の術者に近づけるという意味では、リンネ様の血を混ぜるよりも、リトルウィックの血を引く我が娘の血を混ぜたほうがいいかもしれません。そうすれば、刺すのがリンネ様でも、馴染む率は上がるかもしれません」
「ええっ」
そこに驚いたのはローレンだ。まあ、突然血を混ぜろとか言われたら、私だって多分ビビるけれど。