小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
「ローレン嬢。君の父上は本当に素晴らしい」
「そうですかぁ?」
クロードに対して、ローレンは対応が塩だなぁ。スパルタ教育されているのが、余程腹に据えかねているのだろうか。
「お名前はライリー・ブレイン殿。リトルウィックとハルティーリアのハーフ。つまり、ローレン嬢と同じ立場だが、彼らの両親は逆にリトルウィックで暮らすことを選んだ」
「へぇ。そんな人いるんだぁ」
その人物と、レットラップ子爵経由でコンタクトがとれ、交渉に成功したらしい。
「ああ、楽しみだな。これで魔術の研究も一気に進む」
こうしてみると、クロードは研究者肌なんだなぁと思う。レオになにかがあったらクロードが王位を継ぐだろうって誰かが言っていたけれど、彼が望んでいるのは王位ではないのだろう。きっと、今の方が幸せなんだろうな。
それからひと月ほどたち、王城には魔術指南役がやってきたそうだ。ローレンは一足先に引き合わせてもらったらしい。
「いい感じのチャラさのあるイケメンだったよ」
「チャラいの?」
「うん。まあ、そういう人だからこそ、国を移動することに抵抗がなかったんじゃないかなぁ」
ローレンは腕を組みつつ、この世界ではあまりよしとされない姿勢だが足を組んだ。
「とりあえず、歓迎の宴を開くらしいから、リンネも会えるんじゃない? レオ様のパートナーはリンネ以外いないでしょう」
「じゃあ私も見られるんだ」
「私も出るんだけど、何着ればいいかなぁと思って。ね、リンネ一緒に小物を見に行かない?」
「いいね。でもローレン、時間あるの?」
「そのくらいの時間はもぎ取って見せるわ」