小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
 どうするのが正解なのか分からず、困り果てて、再び目でクロードに助けを求める。まだ半笑いのクロードはそれを受け、咳ばらいをしてから、愛想のいい微笑みを浮かべた。

「ふたりが仲良くなれそうで、良かった。レオは今、学園に通っていないので、家庭教師について勉強しているのです。学年が違うリンネ嬢には少し難しいこともあるかもしれませんが、予習のつもりで聞いていてください。学園での課題を先生に教えてもらってもいいです」

 つまりレオの勉強に付き合えということらしい。すでに午前中に嫌というほど勉強してきたというのに、だいぶ面倒だ。けれど、明日提出の課題をここでやってもいいというのならば、まあいいのか。塾で勉強しているような気分でいればいいんだよねと気を取り直す。

 やがてお父様よりも年上の男の先生が入ってきて自己紹介をする。テレンス先生というらしい。

 クロードから私についての説明を受けたテレンス先生は、「ようこそ、リンネ様。歓迎します」と手を差し出してきたので、握手をする。

 大人から、こういった挨拶を受けたり、握手を求められたりするのは人間として尊重されているようで、結構うれしい。貴族だからなのかな、きっと平民だったらもっと雑に扱われのだろう。

 先生はレオから宿題となっていた課題を受け取ると新しい課題を渡す。私には、「学園での課題をやっていいですよ」と言ってくれる。
 クロードはその間剣術の訓練をすると言い、「またあとで見に来ますからね」といって出ていった。

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