小説世界に転生したのに、八年たってから気づきました
まあ確かに、女よけとして一番適任なのは私だ。
伯爵令嬢ということで、王太子の婚約者として最低レベルの身分があり、遊び相手として長年友情を育んできたという経緯もある。
「ちなみにお父様。婚約したらすぐ結婚というわけではありませんよね?」
「あたり前だろう。おまえが学生のうちは無理だ。それと……おまえが粗相をして殿下を怒らせなければな。いいか? 間違っても婚約期間中に殿下を怒らせるようなことをするなよ? 婚約破棄された令嬢なんて、もう嫁の貰い手が無いからな?」
鬼気迫る顔で言われて、反論も思いつかずコクコクと頷く。
つまり、破棄自体はできる。いざとなったら、レオの方から断ってもらえばいいのだ。
だとすれば、やっぱりこの婚約を受け、まずはレオに外の世界を見せてやらなきゃいけないだろう。
私は姉のような気分で納得する。
「分かりました。婚約はお受けします」
「ああ。明日は詳しい話をしたいから私も一緒に来るように言われている。おまえの来る時間を見計らって門のところで待っているからな」