オレンジ色に輝く校舎で〜君と見つめた最後の時間〜





隣にいる宇宙の様子を見るけど、
何か話そうとするわけじゃない。




でも、
なんだかホッとすることが多い。





『桜、綺麗だなぁ』




立ち止まって、
ポツリと呟く宇宙がいる。





『桜、綺麗だね』




秋葉も同じように、桜の木々を見上げる。




満開になってしまった時、
まだ見れなかった桜の花。




大好きな空ばかり見てしまう習慣があって、
桜とかあまり興味がなかったのかも知れない。




同じ時間に、
同じ歩幅で、
同じように桜道を歩いていた。




少しだけ散ってゆく桜の花が舞い、
道端には、花がチラチラと舞う。





桜道を歩いてゆくふたり。



今年ははじめて一緒に桜を見上げたし、
またひとつ、思い出づくりが出来た。
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