花野くんの溺愛は密室で。
ニヤリと笑った花野くんが私に向かって両手を広げていた。良くない、とわかってるくせに聞いてきて、私をからかってるのに、意地悪された、と思っているのに、私の身体は動く。




「は……なのくん」



身を乗り出して花野くんに抱きついて、抱きしめ返してくれる花野くんの体にすっぽりはまった私は彼の胸に顔をうずめる。




「今日来るのはやいね?そんなに俺に会いたかった?」
「……うん」

「ふっ、いい子」



「可愛いね」と言って私の髪を撫でた。



私の彼氏の花野くんは人気者で、先生からの信頼も厚くて、完璧で優しくて静かで、みんなに好かれている。

だけど、それは彼の表の顔、教室での顔で、本当の花野くんは意地悪で、すぐに私をからかってきて、たまに口が悪くて、甘えん坊だったりする。


そういう彼の姿をみんなは知らない。
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