もしもこの世界がバラ色なら私は幸せなのでしょうか。
現実はそう甘くなかった。


藍ちゃんの名前は、十年前のカルテから見つけた。



昔からこの病院にいる先生が担当していた子なんだそう。

でも、どこかで聞いたことがある。

小さい時に……。会った気がする…。

この時は何もわからなかった。



喘息持ちだった藍ちゃん。

八歳を境に一ヶ月検診に来ていない。


いくら話しかけても一切

心を開いてくれなかった



目を覚ましてくれた時の、

震え方は普通ではなかった。


途中途中でなりかける過呼吸に不信感を抱いた。
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