もしもこの世界がバラ色なら私は幸せなのでしょうか。
外科医の俺は何も力になってあげることができない。

それが悔しくて、悔しくて

おれは同期の精神科医

木村 陽向に相談することにした。



「一か月前に緊急で入ってきた女の子が目を覚ましたんだ。」

「その子、何かあるのか?」


精神科医なだけあって、勘が鋭い。


「身体中アザだらけで、俺が近づくと震えるんだ。」

「何かしてやりたいけど、何もできなくて。」

ホント情けねえ。

陽向が笑顔で

「お前ちゃんと笑って接してるか?」

「できないんじゃなくて、やってないだけなんじゃないか?」


確かにおれは、何もできていない。

同期のまっすぐな意見を聞いてモヤモヤが少し取れた気がする。

「まずゆっくり、心を開いてもらうよう努力しろ。」

「おう!ありがとな。」

本気で頑張ってみよう。当たって砕けろだ。
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