乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版
【さよならさざんか】
時は10月10日深夜4時半過ぎのことであった。
場所は、三重県尾鷲市港町の漁港にて…
岸壁に停まっている三重県警のパトカー6台と尾鷲市の消防本部の消防車が赤い回転灯をともしている。
深夜3時50分ごろ、海上保安庁に夜漁中の漁船から『引き上げられたあみに人魚姫とマーマン(男の人魚)がかかった。』と言う通報があった。
深夜4時40分ごろ、ヤンマーディーゼルの白い漁船が海上巡視艇に誘導されて漁港の構内に入った。
漁船が岸壁によこづけされたあと、漁船につんでいた物体を港におろした。
物体は、ブルーシートに包まれた状態でストレッチャーに載せられて、三重県警のワゴン車につまれた。
物体をつんだパトカーは、警察署へ向けて走った。
警察署に到着したあと、検視官によるケンショウが行われた。
検視官のひとりがブルーシートを取った。
ブルーシートの中に、下着姿のゆりこと生まれたままの姿のけんちゃんがいた。
検視官によるケンショウが終了したあと、ゆりことけんちゃんは棺おけに安置された状態でトラックに載せられて、警察署から出発した。
時は10月12日の夜7時頃であった。
ところ変わって、今治城の堀の北側のとおりにあるドリーマー(葬儀場)にて…
ドリーマーの大ホールにて、ゆりことけんちゃんのツヤが行われていた。
ツヤは、波止浜の母子保護施設が主体でとりおこなわれた。
ツヤに来ていたのは、ゆりことけんちゃんと一緒に暮らしていた子どもたちと施設で現在暮らしている母子8組と施設のスタッフさんたちであった。
施設で暮らしていた男の子たちは妻子と一緒に、女の子たちはお子さんづれのシングルマザーかおひとりさまの子たちである。
大ホールでは、お焼香と花を供える儀式がとりおこなわれた。
儀式のあと、別のホールで夕食会がひらかれた。
施設で暮らしていた子たちは、仕出し弁当を食べながら身の上話をしている。
そんな中であった。
ホールの玄関で、黒の喪服姿のヨリイさんがオタオタした様子で辺りをみわたしていた。
そこへ、黒のハンボク(韓服)姿のマァマがやってきてヨリイさんに声をかけた。
「ヨリイさん。」
ヨリイさんは、おたついた声でマァマに言うた。
「施設長さん、よーくんはまだきてへんの?」
「そうねぇ…」
「困ったわねぇ~」
ところ変わって、ツヤが行われた大ホールにて…
サイダンのもとに安置されている棺おけの中から女性の叫び声が聞こえた。
(ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!)
「ちょっと!!開けてよ!!開けてよ!!」
この時、マァマとヨリイさんが大ホールを通りかかった。
棺おけの中から女性の叫び声とフタをたたく音を聞いたマァマとヨリイさんは、ドリーマーの人に大急ぎで知らせた。
それから数分後…
(ギイギイギイギイ…パカッ…)
ドリーマーの人たちは、バールとトンカチを使って棺おけに固定していたクギをぬいた。
フタがひらいたのと同時に、下着姿のゆりこが起きあがった。
「ちょっと!!コレは一体なんやねん!!」
それをみたヨリイさんが、すっとんきょうな声をあげた。
「ゆりこちゃん…」
「えっ?その声は?」
はっとワレにかえったゆりこは、ヨリイさんに抱きついてワーワー泣いた。
「ゆりこちゃん…」
「ワーン、こわかった~」
それを聞いた出席者全員が大ホールへかけてきた。
女の子たちは、ゆりこが生きかえったとよろこんでいた。
ハンボク姿のマァマは、全身をブルブル震わせて怒っていた。
マァマは、右手に持っているハリセンでゆりこの頭を思い切りどついた。
「ゆりこちゃん!!」
(バシッ!!)
「いたーい!!」
「いたいじゃないでしょーがあんたは!!」
ハリセンでどつかれたゆりこは、頭がサクラン状態におちいった。
「えっ?ゆりこ…なんでドリーマーにいるの?」
「頭冷やしてハンセーせえや!!」
「ああああ!!」
マァマは、ゆりこの身体を投げ飛ばした。
その勢いでゆりこはサイダンに突っ込んだ。
(ガラガラガラガラガラガラガシャーン!!)
サイダンは、めちゃめちゃに壊れた。
下着姿のゆりこは、血まみれの状態で『なんでこなな目にあわないかんのよぅ~』と言うて泣いた。
翌日、けんちゃんの告別式が行われた。
けんちゃんは、ムエン仏の状態で市営の墓地にマイソウされることになった。
場所は、三重県尾鷲市港町の漁港にて…
岸壁に停まっている三重県警のパトカー6台と尾鷲市の消防本部の消防車が赤い回転灯をともしている。
深夜3時50分ごろ、海上保安庁に夜漁中の漁船から『引き上げられたあみに人魚姫とマーマン(男の人魚)がかかった。』と言う通報があった。
深夜4時40分ごろ、ヤンマーディーゼルの白い漁船が海上巡視艇に誘導されて漁港の構内に入った。
漁船が岸壁によこづけされたあと、漁船につんでいた物体を港におろした。
物体は、ブルーシートに包まれた状態でストレッチャーに載せられて、三重県警のワゴン車につまれた。
物体をつんだパトカーは、警察署へ向けて走った。
警察署に到着したあと、検視官によるケンショウが行われた。
検視官のひとりがブルーシートを取った。
ブルーシートの中に、下着姿のゆりこと生まれたままの姿のけんちゃんがいた。
検視官によるケンショウが終了したあと、ゆりことけんちゃんは棺おけに安置された状態でトラックに載せられて、警察署から出発した。
時は10月12日の夜7時頃であった。
ところ変わって、今治城の堀の北側のとおりにあるドリーマー(葬儀場)にて…
ドリーマーの大ホールにて、ゆりことけんちゃんのツヤが行われていた。
ツヤは、波止浜の母子保護施設が主体でとりおこなわれた。
ツヤに来ていたのは、ゆりことけんちゃんと一緒に暮らしていた子どもたちと施設で現在暮らしている母子8組と施設のスタッフさんたちであった。
施設で暮らしていた男の子たちは妻子と一緒に、女の子たちはお子さんづれのシングルマザーかおひとりさまの子たちである。
大ホールでは、お焼香と花を供える儀式がとりおこなわれた。
儀式のあと、別のホールで夕食会がひらかれた。
施設で暮らしていた子たちは、仕出し弁当を食べながら身の上話をしている。
そんな中であった。
ホールの玄関で、黒の喪服姿のヨリイさんがオタオタした様子で辺りをみわたしていた。
そこへ、黒のハンボク(韓服)姿のマァマがやってきてヨリイさんに声をかけた。
「ヨリイさん。」
ヨリイさんは、おたついた声でマァマに言うた。
「施設長さん、よーくんはまだきてへんの?」
「そうねぇ…」
「困ったわねぇ~」
ところ変わって、ツヤが行われた大ホールにて…
サイダンのもとに安置されている棺おけの中から女性の叫び声が聞こえた。
(ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!)
「ちょっと!!開けてよ!!開けてよ!!」
この時、マァマとヨリイさんが大ホールを通りかかった。
棺おけの中から女性の叫び声とフタをたたく音を聞いたマァマとヨリイさんは、ドリーマーの人に大急ぎで知らせた。
それから数分後…
(ギイギイギイギイ…パカッ…)
ドリーマーの人たちは、バールとトンカチを使って棺おけに固定していたクギをぬいた。
フタがひらいたのと同時に、下着姿のゆりこが起きあがった。
「ちょっと!!コレは一体なんやねん!!」
それをみたヨリイさんが、すっとんきょうな声をあげた。
「ゆりこちゃん…」
「えっ?その声は?」
はっとワレにかえったゆりこは、ヨリイさんに抱きついてワーワー泣いた。
「ゆりこちゃん…」
「ワーン、こわかった~」
それを聞いた出席者全員が大ホールへかけてきた。
女の子たちは、ゆりこが生きかえったとよろこんでいた。
ハンボク姿のマァマは、全身をブルブル震わせて怒っていた。
マァマは、右手に持っているハリセンでゆりこの頭を思い切りどついた。
「ゆりこちゃん!!」
(バシッ!!)
「いたーい!!」
「いたいじゃないでしょーがあんたは!!」
ハリセンでどつかれたゆりこは、頭がサクラン状態におちいった。
「えっ?ゆりこ…なんでドリーマーにいるの?」
「頭冷やしてハンセーせえや!!」
「ああああ!!」
マァマは、ゆりこの身体を投げ飛ばした。
その勢いでゆりこはサイダンに突っ込んだ。
(ガラガラガラガラガラガラガシャーン!!)
サイダンは、めちゃめちゃに壊れた。
下着姿のゆりこは、血まみれの状態で『なんでこなな目にあわないかんのよぅ~』と言うて泣いた。
翌日、けんちゃんの告別式が行われた。
けんちゃんは、ムエン仏の状態で市営の墓地にマイソウされることになった。