乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版
【春遠からじ・その2】
7月2日の朝6時過ぎのことであった。
(ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…)
私は、電動シャッターが上がる音におどろいて起きあがった。
(コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ…)
つづいて、かわいたくつおとが聞こえた。
この時、私の目の前に白濁色の作業着姿の目つきの悪い男がやって来た。
男は、鋭い目つきで私をイカクした。
その後で、白濁色の作業着姿の男たち20人がキンショウブロックが積まれているカーゴを倉庫にハンニュウしていた。
ハンニュウが終わったあと、目つきの悪い男は私の前から立ち去った。
(ガラガラガラガラガラガラ…バターン…)
そして、電動シャッターがしまった。
このあと、私はアルミの流しの下にある工具入れを取り出して、準備に取りかかった。
白の長靴をはいて、防水エプロンをつけて、両手に加藤水産のロゴ入りの軍手をつけたあと、私は作業に取り組んだ。
(チョキンチョキンチョキンチョキンチョキンチョキンチョキン…)
私は、はさみを使ってキンショウブロックについているしいたけの実と切れ端をつみ取ってきれいにする。
実は食材用のケースに、切れ端はバケツに分けて入れる…
キンショウブロック1個とばしたら3円、それを1日に1000個とばす…
全部とばしたら、ホースの水でセンジョウする。
夕方6時過ぎに、例の男たちが積みに来る。
できあがった分の積み込みと次とばす分を積んだカーゴのハンニュウが同時に行われる。
そのたびに、目つきの悪い男が私をイカクする。
そしてまた、倉庫から出発した。
それから数分後に、私はたたみの上にあるちゃぶ台に座ったあと、平手打ちでちゃぶ台をバーンとたたいて、両手で頭を抱え込んだ。
なんやねん…
あいつらは、私にどななうらみがあるねん…
地区(ここ)の人間は、チンピラばかりだ!!
小倉(ここ)の水…
私に合わんかもしれへん…
けど、ゆめいろ市に戻りたいとは思ってへん!!
なにがゆめいろいっぱいの学園都市だ!!
なにが天国だ!!
ふざけるな!!
話しは、1987年10月1日の夜のことであった。
場所は、ゆめいろ県ゆめいろ市(空想の地名)の某所にある一戸建ての家にて…
この日、家の中で暴力事件が発生した。
私は、アメリカ合衆国の4年制ハイスクールの1年生を終えたあと、ゆめいろ市のバラ色学園高校に転学した。
校名だけバラ色の与太校である。
家は、学校に在籍している女子生徒・神辺莉江子(16歳で同学年)の家族が暮らしている。
家族構成は、莉江子と両親・智江(選挙主婦)と時彦(管理職)と兄夫婦・滋(経理職)と芳美(パート)の5人家族である。
私は、5人家族と同居していた。
その上に、もうひとり同居人がいた。
もうひとりの同居人・須波勝祝(かつのり)は、生まれた時に両親と別れて、コジインで暮らしていた。
のちに、智江と時彦が勝祝を引き取ったが、養子縁組はくんでない。
私は、神辺の家で暮らすことがイヤなので家出した。
家出した原因は、滋の暴力である。
滋は、外で気に入らんことがあるたびに勝祝に八つ当たりを繰り返していた。
なんで滋は、特定の人間ばかりに暴力をふるうのか?
私には、それが分からない…
10月1日の夜であった。
この日、勝祝は一方的に女性に想いを募らせていたことが原因で、ケーサツからケーコクを受けた。
帰宅した滋は、態度が悪い勝祝をシツヨウに殴りつけた。
「オドレ甘ったれるな!!コーコーセーのブンザイでオナゴにうつつぬかしやがって!!ケーサツからケーコク受けたオドレが全部悪いのだ!!」
芳美は、滋に同調してなまいきな口調で言うた。
「コーコーセーのホンブンはベンキョーでしょ…ドーキューセーたちが必死になってベンキョーしよんのに、あなたはなに考えとんかしらねぇ~」
滋は、勝祝に対してシツヨウに暴力をふるった。
芳美は、なまいきな表情で腕組みしていた。
滋は、家中に怒鳴り声を拡散させてイカクした。
滋の怒鳴り声は、私がいる部屋にも聞こえた。
滋は、勝祝だけではなく、私にも暴言をはきまくった。
滋は、勝祝がよその家の女性にストーカーをしていたことなどをボロクソに言うたが、私には『アメリカ合衆国の教育を受けなければならないのになんで日本へ来たのだ!?』と言うて『ジョウイだジョウイだ!!』とレンコした。
滋から『ジョウイだ!!』とレンコされた私は、激怒した。
ふざけんなよ…
オドレが私にジョウイだと言うのであれば、私もオドレら日本人と徹底抗戦をかまえるぞ!!
その翌日、私は大切なものと生活に必要なものをショルダーバックに詰めて荷造りをすませたあと、家出したった…
私が家出してから4時間半後のことであった。
バラ色学園高校で、恐ろしい事件が発生した。
滋にボコボコにいて回された勝祝は、授業中に暴力事件を起こした。
勝祝は、数人のツッパリの男子生徒に暴行を加えて大ケガを負わせた。
うち、ひとりが頭を強打したことによる脳内出血で死亡した。
勝祝は、このあとも乱闘事件を展開した。
学校は、事件の影響でこの日の授業を打ち切った。
莉江子の家では、勝祝が乱闘事件を起こしたことや私が家出したことよりも、滋の暴力が問題になっていた。
智江は『滋が勝祝くんとイワマツくんにきつい暴行を加えた原因は芳美に全部ある!!』と言うて芳美をボロクソになじりまくった。
芳美は、智江が発した言葉にブチ切れて、智江を怒鳴りつけた。
嫁姑間がひどい大ゲンカを起こした。
近所の人たちは『神辺の家のもんはなに考えとんかしら…』と言うてヒソヒソと話していた。
その間、私はゆめいろ市を出てよその街にいた。
私の心は、怒りに満ちていた。
同時に、日本で暮らして行くことがイヤになった。
こななことになるのであれば…
アメリカ合衆国のハイスクールに帰りたい…
日本の学校におったら…
私はつぶれてしまう…
(ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…)
私は、電動シャッターが上がる音におどろいて起きあがった。
(コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ…)
つづいて、かわいたくつおとが聞こえた。
この時、私の目の前に白濁色の作業着姿の目つきの悪い男がやって来た。
男は、鋭い目つきで私をイカクした。
その後で、白濁色の作業着姿の男たち20人がキンショウブロックが積まれているカーゴを倉庫にハンニュウしていた。
ハンニュウが終わったあと、目つきの悪い男は私の前から立ち去った。
(ガラガラガラガラガラガラ…バターン…)
そして、電動シャッターがしまった。
このあと、私はアルミの流しの下にある工具入れを取り出して、準備に取りかかった。
白の長靴をはいて、防水エプロンをつけて、両手に加藤水産のロゴ入りの軍手をつけたあと、私は作業に取り組んだ。
(チョキンチョキンチョキンチョキンチョキンチョキンチョキン…)
私は、はさみを使ってキンショウブロックについているしいたけの実と切れ端をつみ取ってきれいにする。
実は食材用のケースに、切れ端はバケツに分けて入れる…
キンショウブロック1個とばしたら3円、それを1日に1000個とばす…
全部とばしたら、ホースの水でセンジョウする。
夕方6時過ぎに、例の男たちが積みに来る。
できあがった分の積み込みと次とばす分を積んだカーゴのハンニュウが同時に行われる。
そのたびに、目つきの悪い男が私をイカクする。
そしてまた、倉庫から出発した。
それから数分後に、私はたたみの上にあるちゃぶ台に座ったあと、平手打ちでちゃぶ台をバーンとたたいて、両手で頭を抱え込んだ。
なんやねん…
あいつらは、私にどななうらみがあるねん…
地区(ここ)の人間は、チンピラばかりだ!!
小倉(ここ)の水…
私に合わんかもしれへん…
けど、ゆめいろ市に戻りたいとは思ってへん!!
なにがゆめいろいっぱいの学園都市だ!!
なにが天国だ!!
ふざけるな!!
話しは、1987年10月1日の夜のことであった。
場所は、ゆめいろ県ゆめいろ市(空想の地名)の某所にある一戸建ての家にて…
この日、家の中で暴力事件が発生した。
私は、アメリカ合衆国の4年制ハイスクールの1年生を終えたあと、ゆめいろ市のバラ色学園高校に転学した。
校名だけバラ色の与太校である。
家は、学校に在籍している女子生徒・神辺莉江子(16歳で同学年)の家族が暮らしている。
家族構成は、莉江子と両親・智江(選挙主婦)と時彦(管理職)と兄夫婦・滋(経理職)と芳美(パート)の5人家族である。
私は、5人家族と同居していた。
その上に、もうひとり同居人がいた。
もうひとりの同居人・須波勝祝(かつのり)は、生まれた時に両親と別れて、コジインで暮らしていた。
のちに、智江と時彦が勝祝を引き取ったが、養子縁組はくんでない。
私は、神辺の家で暮らすことがイヤなので家出した。
家出した原因は、滋の暴力である。
滋は、外で気に入らんことがあるたびに勝祝に八つ当たりを繰り返していた。
なんで滋は、特定の人間ばかりに暴力をふるうのか?
私には、それが分からない…
10月1日の夜であった。
この日、勝祝は一方的に女性に想いを募らせていたことが原因で、ケーサツからケーコクを受けた。
帰宅した滋は、態度が悪い勝祝をシツヨウに殴りつけた。
「オドレ甘ったれるな!!コーコーセーのブンザイでオナゴにうつつぬかしやがって!!ケーサツからケーコク受けたオドレが全部悪いのだ!!」
芳美は、滋に同調してなまいきな口調で言うた。
「コーコーセーのホンブンはベンキョーでしょ…ドーキューセーたちが必死になってベンキョーしよんのに、あなたはなに考えとんかしらねぇ~」
滋は、勝祝に対してシツヨウに暴力をふるった。
芳美は、なまいきな表情で腕組みしていた。
滋は、家中に怒鳴り声を拡散させてイカクした。
滋の怒鳴り声は、私がいる部屋にも聞こえた。
滋は、勝祝だけではなく、私にも暴言をはきまくった。
滋は、勝祝がよその家の女性にストーカーをしていたことなどをボロクソに言うたが、私には『アメリカ合衆国の教育を受けなければならないのになんで日本へ来たのだ!?』と言うて『ジョウイだジョウイだ!!』とレンコした。
滋から『ジョウイだ!!』とレンコされた私は、激怒した。
ふざけんなよ…
オドレが私にジョウイだと言うのであれば、私もオドレら日本人と徹底抗戦をかまえるぞ!!
その翌日、私は大切なものと生活に必要なものをショルダーバックに詰めて荷造りをすませたあと、家出したった…
私が家出してから4時間半後のことであった。
バラ色学園高校で、恐ろしい事件が発生した。
滋にボコボコにいて回された勝祝は、授業中に暴力事件を起こした。
勝祝は、数人のツッパリの男子生徒に暴行を加えて大ケガを負わせた。
うち、ひとりが頭を強打したことによる脳内出血で死亡した。
勝祝は、このあとも乱闘事件を展開した。
学校は、事件の影響でこの日の授業を打ち切った。
莉江子の家では、勝祝が乱闘事件を起こしたことや私が家出したことよりも、滋の暴力が問題になっていた。
智江は『滋が勝祝くんとイワマツくんにきつい暴行を加えた原因は芳美に全部ある!!』と言うて芳美をボロクソになじりまくった。
芳美は、智江が発した言葉にブチ切れて、智江を怒鳴りつけた。
嫁姑間がひどい大ゲンカを起こした。
近所の人たちは『神辺の家のもんはなに考えとんかしら…』と言うてヒソヒソと話していた。
その間、私はゆめいろ市を出てよその街にいた。
私の心は、怒りに満ちていた。
同時に、日本で暮らして行くことがイヤになった。
こななことになるのであれば…
アメリカ合衆国のハイスクールに帰りたい…
日本の学校におったら…
私はつぶれてしまう…