乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版
【雨の慕情】
12月6日頃であった。
この日も私は、福岡の入国管理局へ行って出国申請を申し出た。
しかし、担当者の職員が『イボジが痛い…』と言うて勝手に欠勤していた。
この日もまた、出国申請ができなかった。
ホンマに話しにならへんわ…
(ザーッ…)
その日の午後2時過ぎであった。
福岡市内に冷たい雨が降っていた。
私は、渡辺通りをトボトボと歩きながら考えごとをしていた。
その時であった。
通りに面した料亭に、溝端屋のダンナが田嶋組の組長と山岡と小林と一緒にいたのを目撃した。
気になった私は、決死の覚悟で料亭の裏口から忍びこんだ。
料亭の裏口にて…
私は、現場の20メートル手前まで接近したあと聞き耳を立てて立ち聞きした。
料亭のお座敷に、溝端屋のダンナと田嶋組長と山岡と小林の4人が時彦と弁護士(学園のオクギョ理事長の知人のヤクザの顧問弁護士)がいて話し合いをしていた。
溝端屋のダンナは、腕組みをして考えごとをしていた。
時彦は、必死になって許し乞いをした。
「お願いでございます…お願いでございます…どうかこらえてくださいませ…」
しかし、溝端屋のダンナは口をつむじ曲げにして怒っていた。
時彦は、溝端屋のダンナにこらえてもらうまで許し乞いをつづけた。
「ダンナさま、温品くんはうまくものを伝えることができないのです…お願いでございます…お願いでございます…私は…必死になってダイベンしているのですよ…」
この時であった。
「ダンナ、オマルを持ってめいりやした。」
田嶋の子分ふたりが、アヒルのオマルを持って入ってきた。
子分ふたりは、時彦の前にアヒルのオマルを出したあと組長の横に戻った。
溝端屋のダンナは、時彦にオマルを持ってきたぞと言うた。
「あんさん、オマルを持ってきたよ。」
「はっ?」
「はっ?…じゃなかろが、オマルを持ってきたよといよるねん!!」
「えっ?」
「あんさんがダイベンするといよるけんオマルを用意したんや!!」
「あの~…」
「なんぞぉ!!」
「私が言うてるダイベンの意味が違うのですが…」
「なーんもちごてへんねん…あんさんがダイベンする言うたけんオマル出しただけや!!」
「私が言うてるダイベンは…」
「ゴタゴタゴタゴタ言わんとはよダイベンせえや!!」
「トホホホ…」
「オイおまえら、カミと消毒液用意しとけ!!」
「へえ!!」
時彦は、泣く泣くダンナたちの前でチジョクをさらされた。
アホくさ~…
なんやねん一体もう…
ヒョウシ抜けしたわ…
(ザーッ…)
時は、夜8時半頃であった。
私は、那珂川にかかるであい橋を渡って中洲川端の色街へ向かった。
中洲川端の色街にて…
雨に濡れながらトボトボと歩いている私は、これからどないしようかと考えていた。
入国管理局へ行って、出国申請をすませて日本から出国したい…
なのに、ナマクラコームインのせいで出国できない…
どないしたらええねん…
はよ日本から出国したい…
韓国にいるマァマに会いたい…
アメリカ合衆国のハイスクールへ行きたい…
私は、震える声で泣きながら通りを歩いていた。
通りのスピーカーから、八代亜紀さんの歌で『雨の慕情』が流れていた。
私は、震える声で歌いながら通りを歩いた。
この日も私は、福岡の入国管理局へ行って出国申請を申し出た。
しかし、担当者の職員が『イボジが痛い…』と言うて勝手に欠勤していた。
この日もまた、出国申請ができなかった。
ホンマに話しにならへんわ…
(ザーッ…)
その日の午後2時過ぎであった。
福岡市内に冷たい雨が降っていた。
私は、渡辺通りをトボトボと歩きながら考えごとをしていた。
その時であった。
通りに面した料亭に、溝端屋のダンナが田嶋組の組長と山岡と小林と一緒にいたのを目撃した。
気になった私は、決死の覚悟で料亭の裏口から忍びこんだ。
料亭の裏口にて…
私は、現場の20メートル手前まで接近したあと聞き耳を立てて立ち聞きした。
料亭のお座敷に、溝端屋のダンナと田嶋組長と山岡と小林の4人が時彦と弁護士(学園のオクギョ理事長の知人のヤクザの顧問弁護士)がいて話し合いをしていた。
溝端屋のダンナは、腕組みをして考えごとをしていた。
時彦は、必死になって許し乞いをした。
「お願いでございます…お願いでございます…どうかこらえてくださいませ…」
しかし、溝端屋のダンナは口をつむじ曲げにして怒っていた。
時彦は、溝端屋のダンナにこらえてもらうまで許し乞いをつづけた。
「ダンナさま、温品くんはうまくものを伝えることができないのです…お願いでございます…お願いでございます…私は…必死になってダイベンしているのですよ…」
この時であった。
「ダンナ、オマルを持ってめいりやした。」
田嶋の子分ふたりが、アヒルのオマルを持って入ってきた。
子分ふたりは、時彦の前にアヒルのオマルを出したあと組長の横に戻った。
溝端屋のダンナは、時彦にオマルを持ってきたぞと言うた。
「あんさん、オマルを持ってきたよ。」
「はっ?」
「はっ?…じゃなかろが、オマルを持ってきたよといよるねん!!」
「えっ?」
「あんさんがダイベンするといよるけんオマルを用意したんや!!」
「あの~…」
「なんぞぉ!!」
「私が言うてるダイベンの意味が違うのですが…」
「なーんもちごてへんねん…あんさんがダイベンする言うたけんオマル出しただけや!!」
「私が言うてるダイベンは…」
「ゴタゴタゴタゴタ言わんとはよダイベンせえや!!」
「トホホホ…」
「オイおまえら、カミと消毒液用意しとけ!!」
「へえ!!」
時彦は、泣く泣くダンナたちの前でチジョクをさらされた。
アホくさ~…
なんやねん一体もう…
ヒョウシ抜けしたわ…
(ザーッ…)
時は、夜8時半頃であった。
私は、那珂川にかかるであい橋を渡って中洲川端の色街へ向かった。
中洲川端の色街にて…
雨に濡れながらトボトボと歩いている私は、これからどないしようかと考えていた。
入国管理局へ行って、出国申請をすませて日本から出国したい…
なのに、ナマクラコームインのせいで出国できない…
どないしたらええねん…
はよ日本から出国したい…
韓国にいるマァマに会いたい…
アメリカ合衆国のハイスクールへ行きたい…
私は、震える声で泣きながら通りを歩いていた。
通りのスピーカーから、八代亜紀さんの歌で『雨の慕情』が流れていた。
私は、震える声で歌いながら通りを歩いた。