乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版
【悲しい色やね】
時は夜10時過ぎのことであった。
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!)
また尾鷲市で人魚が打ち上げられた事件が発生した。
現場は、瀬木山町のコンテナ倉庫が立ちならぶ貨物埠頭にて…
敷地内に停車している三重県警のパトカー10台と消防署の救助工作車2台がけたたましいサイレンを鳴らしている。
小舟に乗っている地区の消防団員のおっちゃんたち20人によって人魚が引き上げられた。
引き上げられた人魚は、言うまでもなくゆりこである。
顔がブクブクにはれて、あしもとにひどい引っかき傷がある痛々しい姿で引き上げられたゆりこは、ストレッチャーに載せられて、白のカローラのライトバンに運ばれた。
ライトバンは、たつろうさんの実家へ向かった。
時は、朝8時過ぎであった。
たつろうさんの実家の大広間に、地区の消防団のおっちゃんたち20人がいて、大きな口をあけてゲラゲラ笑いながら酒をのんでいた。
そのとなりの広間に、ゆりこが永眠(ねむっ)ている棺と祭壇が安置されている。
そんな中で、てつろうがふらりと戻ってきた。
てつろうは、棺と祭壇が安置されている広間にあがった。
棺に安置されているゆりこを見たてつろうは『ウソだろ…』と言うてゼックした。
「ゆりこ…」
てつろうは、ゆりこのくちびるにそっとキスをした。
その時であった。
「うーん…」
死んだはずのゆりこが目をさまして起きあがった。
「うーん…あれ?ここどこなん?」
「ゆりこ…ゆりこ…」
「てつろうさん…てつろうさん…」
「ゆりこ、生きていたのか…ああ…よかった…」
てつろうは、貝殻の形のブラジャーショーツ姿で目ざめたゆりこを抱きしめてキスをした。
「ゆりこ…結婚しよう…」
てつろうとゆりこが抱き合って愛し合っていた時に、よいたんぼのおっちゃんが入って来た。
「てつろうさん…こななところでなにしてまんねん…」
「えっ?」
よいたんぼのおっちゃんは『人魚が生き返った~』と叫んだ。
それにつられて、複数のおっちゃんたちがワーワーさわぎながら地区中を走り回った。
その上に、ゆりことてつろうが恋仲であることまで知れ渡ったので、大ごとになった。
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!)
また尾鷲市で人魚が打ち上げられた事件が発生した。
現場は、瀬木山町のコンテナ倉庫が立ちならぶ貨物埠頭にて…
敷地内に停車している三重県警のパトカー10台と消防署の救助工作車2台がけたたましいサイレンを鳴らしている。
小舟に乗っている地区の消防団員のおっちゃんたち20人によって人魚が引き上げられた。
引き上げられた人魚は、言うまでもなくゆりこである。
顔がブクブクにはれて、あしもとにひどい引っかき傷がある痛々しい姿で引き上げられたゆりこは、ストレッチャーに載せられて、白のカローラのライトバンに運ばれた。
ライトバンは、たつろうさんの実家へ向かった。
時は、朝8時過ぎであった。
たつろうさんの実家の大広間に、地区の消防団のおっちゃんたち20人がいて、大きな口をあけてゲラゲラ笑いながら酒をのんでいた。
そのとなりの広間に、ゆりこが永眠(ねむっ)ている棺と祭壇が安置されている。
そんな中で、てつろうがふらりと戻ってきた。
てつろうは、棺と祭壇が安置されている広間にあがった。
棺に安置されているゆりこを見たてつろうは『ウソだろ…』と言うてゼックした。
「ゆりこ…」
てつろうは、ゆりこのくちびるにそっとキスをした。
その時であった。
「うーん…」
死んだはずのゆりこが目をさまして起きあがった。
「うーん…あれ?ここどこなん?」
「ゆりこ…ゆりこ…」
「てつろうさん…てつろうさん…」
「ゆりこ、生きていたのか…ああ…よかった…」
てつろうは、貝殻の形のブラジャーショーツ姿で目ざめたゆりこを抱きしめてキスをした。
「ゆりこ…結婚しよう…」
てつろうとゆりこが抱き合って愛し合っていた時に、よいたんぼのおっちゃんが入って来た。
「てつろうさん…こななところでなにしてまんねん…」
「えっ?」
よいたんぼのおっちゃんは『人魚が生き返った~』と叫んだ。
それにつられて、複数のおっちゃんたちがワーワーさわぎながら地区中を走り回った。
その上に、ゆりことてつろうが恋仲であることまで知れ渡ったので、大ごとになった。