乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【翼の折れたエンジェル】

時は、北欧時間の5月1日正午過ぎであった。

A班のメンバーたちは、北欧・ノルウェーの首都オスロにいた。

この日は、オスロ中心部のハウスマン通りにある関連会社のオフィスビルの建設現場を視察した。

メンバーたちは、設計図を開いて、現場の人たちと一緒に工事の進ちょく状況の聞き取りなどをしていた。

この日のスケジュールは、午後2時に終了した。

ところ変わって、オスロ中心部の北西側にあるヴィゲーラン公園にて…

1日のスケジュールを終えたメンバーたちは、公園の敷地内をゆったりとした足取りで散策した。

私たちは、彫刻家・グスタフヴィゲーランが制作した石像が立ちならんでいるコーナーへ行った。

敷地内には、212体の石像が立ちならんでいる。

女と男、妻と夫、母と子…

さまざまな性と生が入り組んでいる石像群が立ちならんでいた。

そんな中で、私はてっぺんに立っているモノリス(シンボルタワー)をじっと見つめた。

老若男女121人が生まれたままの姿で激しく絡み合っている。

その様子を見つめている私は、中学生のロングヴァケーションの時を思い出した。

マァマ(施設長さん)と一緒にソッチョのビーチで過ごした甘い時間…

マァマにキスした…

マァマの身体の温もり…

マァマの甘いといきと泣き声…

筆おろしまでは行かなんだけど、マァマから性の悦びを教わった…

あの日の夜、ホテルのベッドでマァマと裸になって抱き合った…

その時も筆おろしはせなんだ…

マァマは『筆おろしはお嫁さんをもらってからにして…』と悲しげな声で言うた。

この先のことを考えて、お嫁さんをもらおうかな…

いや、まだ家がでけてへんけん、あせらん方がいいかな…

私は、てっぺんに立っているモノリスをみつめながらそんなことばかりを考えた。
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