乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【あんたのバラード・その2】

時は午後2時頃であった。

なみさんが働いている理容院で散髪し終えたあと、A班のメンバーたちとポムじいさんとゆみさんは特大バスに乗って高松空港へ引き返した。

メンバーたちは高松空港のVIP専用の搭乗ロビーで仕事を続けた。

私は、ソニードデガホン(CDラジカセ)のタイマーでカセットテープに録音したNHKラジオ第2放送の『気象通報』を聞きながら天気図を作る。

まず、観測地点ごとの風向・風力・天候・気温をメモする。

次に、気圧配置の位置をメモする。

すべてメモしたあと、メモにしたがって白地図に記載する。

朝6時の気圧配置図ができあがった。

それによると、四国山地の上空で大気の状態が非常に不安定になっていたことに加えて、西日本~東日本の太平洋側に梅雨前線が停滞していた。

南から暖かく湿った空気が四国山地に大量に流入したことに伴って、飛行ルートにあたる四国の太平洋側と九州南部の上空で大気の状態が非常に不安定になったので、乱気流が発生しやすい状態であった。

大気が安定していれば、予定されたルートを飛行して経由地のハノイへ向かうことになっていた。

夕方4時前に、(高松地方)気象台から電話が入った。

それによると、太平洋側は夜遅くまで大気の状態が非常に不安定で、ところにより雷を伴って非常に激しい雨が降る…瀬戸内側は曇り後晴れで天候がおちつくと言うてた。

別ルートで設定されている近畿地方も北部中部から天候が回復する。

これに伴って、専用機は近畿地方から日本海を飛行して経由地のウラジオストクへ向かうルートに変更して運行を再開する。

夜8時頃、専用機は予定より6時間遅れて高松空港を出発した。

(スケジュールでは午後2時出発であった)

専用機は、兵庫県沖の日本海からウラジオストクへ向かった。

その後、ウラジオストクからウラル山脈を越えて中欧へ向かった。

6月17日朝7時頃、A班のメンバーたちとポムじいさんとゆみさんが乗った専用機は、スロヴァキアのブラチスラヴァ空港に到着した。

専用機を降りたメンバーたちは、特大バスに乗り換えて陸路ポーランドへ向かった。

12時間後に、特大バスがワルシャワ中央駅に到着した。

特大バスを降りたメンバーたちは、長距離列車に乗り換えてヴィャウィストクへ向かう。

ヴィャウィストクは、サーシャさんの生まれ故郷である。

現地に到着後にサーシャさんとゆかさんと合流する。

サーシャさんがプロデュースしたポーランドランジェリーの一般販売が11月頃に開始することが決まったので、現地の縫製工場に委託製造をお願いすることにした。

現地の工場に到着後に、早速商談を始めた。

私と社長さんは、ポーランド語で商談を進めた。

商談は、15分で成立した。

商談成立後、私とたつろうさんとリチャードさんとケントさんと事務長はんと工場の社長さんと委託製造契約の手続きを取る。

商談成立後も、休むことなく仕事はつづいた。

次は、そこから5キロ先にあるポレンドヴィツア(フィレ肉をぜいたくに使ったハム)を製造しているハム会社へ向かった。

ボジョレーヌーヴォー解禁日にワインとセットで販売ポレンドヴィツアの製造委託をお願いしに行く。

現地に到着後、すぐに商談を始めた。

こちらも15分で成立した。

商談成立後、私とたつろうさんとリチャードさんとケントさんと事務長はんと社長さんで契約の手続きを取る。

このあと、メンバーたちは商談成立後のスケジュール調整などをした。

6月29日にひととおりのお仕事を完了させた。

6月30日の午後2時過ぎであった。

ところ変わって、ハンガリー・ブダペストの市民公園内にあるセーチェニ温泉にて…

1913年に市民公園内に作られた大温泉施設である。

ローマ帝国時代の公衆浴場をイメージして作られた温泉施設である。

水着着用ではいるお風呂である。

メンバーたちは、水着を着用して温泉療養をしている。

ここの名物は、温泉チェスである。

サーフパンツ姿の私とポムじいさんと水陸両用のフィットネスブラとレギンス(水着素材使用)姿のミンジュンさんとゆみさんとゆかさんとサーシャさんは、温泉チェスを楽しんでいる。

ゆみさんと対局しているポムじいさんが私に声をかけた。

「ムッシュイワマツどの。」
「ポムじいさん。」
「ムッシュイワマツは、十川の看板娘(なみさん)とはどなな関係がおましたか?」
「ちいちゃい時に、波止浜の母子保護施設で一緒に暮らしていました。」
「そうだったのか…ムッシュイワマツどのは、なみさんと結婚したいのかね?」

私と対局しているミンジュンさんがポムじいさんに言うた。

「ポムじいさん、ヨシタカさんの結婚はうんと後回しになっているのよ…ヨシタカさんのお嫁さんはフランソワたちで選ぶのよ!!」
「わかっとるわい…ちょっと聞いてみただけだ!!」

ポムじいさんは、ビショップ(駒)を進めながらミンジュンさんに言うた。

サーシャさんとゆかさんは、普通に対局を進めている。

ポムじいさんは、私になみさんを好きになったと言うた。

「ムッシュイワマツどの、この前のスカルプケアとアイロンパーマ気持ちよかったなぁ~なみさんも気に入った…ええ身体だったのぉ~」

ミンジュンさんが怒った声でポムじいさんに言うた。

「ポムじいさん!!ヨシタカさんの前でえげつないこと言われん!!こなな大事な時に失礼よ!!」
「わかっとるわい!!そう言うミンジュンどのはムッシュイワマツと結婚したいのか?」
「ポムじいさん!!」
「ちょっと聞いただけや…ミンジュンどのはすぐムキになるのぉ~ハハハハハハハハハハ。」

ポムじいさんが大笑いしていた時に、ゆみさんが大将のコマを取った。

「はい、ゆみの勝ち。」
「なっ、なにすんねん!?」
「なにすんねんって、大将のコマ取られたポムじいさんの負けよ。」
「なんじゃと!!もう一回勝負だ!!」
「望むところよ!!」

ポムじいさんとゆみさんは、ゲームしている時に本気でケンカすることがよくある。

この時、周囲の湯治客がポムじいさんとゆみさんの前に集まって、対局を見つめていた。
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