Seven...YUKI
●序章
残酷な初恋
「ほらっ」
その男の人は、
あたしの目の前に温かそうなココアを
差し出した。
「あったけぇだろ…」
あたしの目の前にしゃがんで
満面の笑顔でそう言う。
受け取ったココアは本当に温かくて…
すごく温かくて…。
涙が出るくらいに温かかった。
…光輝。
あたし、あの夜…心を救われた。
あなたに出逢ったから…。
「愛莉ちゃん、ちょっと手伝って!」
「あ、はい!」
ふっくらとした体系のおばさんに
声をかけられ、
あたしは近くに駆け寄った。
大きな袋を積み上げようとしている
おばさんに手を貸して、
何とか袋を持ち上げる。
「ふぅ…ありがとう、助かったわ」
腰に手をあててそう言ったおばさんは、
壁にかけてある時計に視線を移した。
「あら、こんな時間…
もう遅いから愛莉ちゃんは帰りなさい。
後は大丈夫だから」
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