Seven...YUKI
「でも…滝さんはゆっくりでいいって
言ってたから…」
「お前のゆっくりの感覚はどうなってる。
もう2ヶ月経ってるんだぞ?」
「それは…」
「お前にも…もちろん雪ちゃんにも
不安があるからこそ悩んでるんだろう。
けど、言っとくがな…滝の
才能を見極める力は本物だ。
もちろん本人のやる気も必要だけど…。
それに滝がスカウトしたということは
俺もスカウトしたと同じこと。
Sevenの専属カメラマンであり
最高責任者でもある俺もな」
「最高責任者?渡部さんが?」
「このたび正式に決定。
Sevenは他の雑誌とは違いモデルはみんな
同じ橘プロダクション所属だろ?
香奈のお母さんである橘香織さんが
経営してる事務所。
社長からつい最近頼まれてな」
そうなんだ…全然知らなかった。
っていうか…あたしって
本当にすごい人達と知り合いなんだな…。
「それは…おめでとうございます。
けどなんで…」
そうだ…なんであたしを?
「Sevenは何年も続いてる雑誌だ。
橘プロダクションがSevenの全てを
経営するようになるずっと昔から。
そして昔からモデルの質はまったく
落ちていない。
そしてその中でもずばぬけた才能と容姿。
スター性に人をひきつける魅力。
俺が出逢った中では橘香奈ただ1人。
そしてこの先も出逢えるはずないと
思ってたけど…今目の前にいる」
そう言ってあたしを見つめる渡部さん。
「あ…あたし?」