Seven...YUKI


すぐに香奈さんの側に駆け寄って、
うつむく香奈さんの体をゆする。



「ごめんなさい…ごめん…っ…」



「香奈?」



「あたしのせい…あたしが悪い…」



その言葉を聞いたお兄さんは、
あたしと香奈さんの手に視線を落とす。



そして、あたしの手から香奈さんの手を
優しく離すと香奈さんを抱きしめた。



「違うって…香奈のせいじゃない」



「あたしのせいよ…あたしが悪いのっ」



「違う」



「…っ…あたしよ…あたしがっ…」



「もう黙れ、何も言うな…」



さっきよりさらに泣き出す香奈さんに、
お兄さんも少し涙目になる。



あたしはそこにいられなくなって、
休憩室から出た。



香奈さんにはお兄さんがいる。



悲しくても…淋しくても…
抱きしめてくれる人がいる。



あたしには…もういない。



あたしにはもう…いない…。










香奈さんの言っていた通りかもしれない。


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