Seven...YUKI
「香奈さん言ってました…
『早く光輝の心臓が止まってほしい』
…って」
「香奈がそんなこと…?」
顔を曇らせるお兄さんに小さくうなずく。
「でもあたし…香奈さんがそんなことを
言ったのは、光輝の脳死を
受け入れてるからだと思うんです」
「香奈が?」
「脳死判定を受けた光輝はもう
助からない。
このままこの状態が永遠に続く。
それをちゃんと受け入れてるんです…
香奈さん」
迷いがなくはっきりしてて…
自分の意思をしっかり持ってる香奈さん。
「生と死の間…しかも限りなく死に近い
今の状況に、光輝が置き去りにされてる
気がするんだと思います」
助からないと分かってる光輝を
このままにしておく。
香奈さんはそれを嫌がってる。
「だからあんなに素直に泣けるんです」
だからあんなにぐちゃぐちゃになれる。
希望を持っていないから。
「雪ちゃんは…受け入れてないの?」
「…受け入れられないんです」
あたしは光輝の胸に触れた。
かすかに動く心臓。