Seven...YUKI


その横で、声を立てず
うつむいて泣いているお父さん。



あたしはその様子を見て思い出した。



丈の日記に書いてあったこと。



≪父さんと母さんは俺を捨てたんだ≫



本当にそうなの?



≪俺は…望まれて生まれた
子供じゃないから≫




違う…違うよ丈。



丈は…間違いなく愛されてた。



確かに…遊び半分で
生まれた子供かもしれない。



けど…丈のお父さんとお母さんは
丈をなげやりに育ててはいなかった。



だって…どうでもいい子供に
こんなに涙を流せるわけない。



これが演技だとも思えない。



持ってきたダンボールに
丈の私物を大事そうに片付けている。



あれ?



もう帰るのかな…。



丈の荷物は元々少ないから早いのかも…。



ダンボールを持って悲しそうにドアへ
向かってきた。

< 64 / 591 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop