大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「あっ、秋から電話だ……」
お風呂から上がり、バスタオルを肩にかけながら、まだ水の滴る髪を拭っていたら枕元に置いていた携帯が振動し、馴染みのある音を鳴らしながら私に着信を知らせた。
スマホを手に取って通話ボタンをスワイプし、慣れた手つきでスピーカーのボタンをタップする。
『もしもーし』
顔が見えなくとも伝わる元気な声に、思わず頬が緩む。
「秋、元気すぎでしょ」
『ヘヘッ。まぁな。俺にとっては夜中がパーティーみたいなもんだからな』
「さすが」
『それより、さっきは付き合ってくれてありがとう』
秋の声に自然と心が落ち着いていく。
さっきまで荒ぶっていた心やネガティブ思考の自分は、キレイサッパリいなくなっていた。
私の心から、“好き”以外の黒い感情を取り除けるのは後にも先にも彼だけだと改めて思った。