大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「こちらこそ。すごく、楽しかった」
『なら、よかった』
思わず画面の前で笑顔になると、彼の弾んだ声が聞こえてくる。
好き……、大好き。
溢れ出す彼への恋心に、私の胸がコトコトと音を立てる。
『華音、もう寝る?』
「髪乾かしたら、寝よっかな」
『オッケー。俺、とりあえず布団入る』
ゴソゴソとシーツの擦れる音を聞きながら、私は洗面所に移動しドライヤーを片手に鏡の前に立った。
スマホは近くのタンスの上に置き、早速髪を暖風で靡かせる。
その間も、ふたりの通話は続く。
夜の電話は一度始まればふたりが眠りにつくまで行われる。
片方が寝たら、片方が通話を切る。
始めはそんな決まりを自分たちで作ったけれど、最近はお互いの声を聞きながら寝落ちしたいことから、目覚めるまで通話が繋がれていることがほとんどだった。