大好きだから、キミの前では笑っていたい。
しばらくしてドライヤーを終えた私は歯ブラシに持ち替え、先程まで聞き取りづらかった彼の声を聞くためにタンスのほうへと少しばかり移動してみせた。
『なんかシャコシャコ聞こえる……』
「歯磨きしてる」
『だろうな』
私の返しに、クスリと笑う声が微かに聞こえる。
たわいもないことでも、彼とならこんなにも楽しくて幸せな気持ちになれる。
絶対に失いたくないもの。
いつまでも、守り続けたい関係。
歯磨きも終え、ベッドに潜り込んだ私は枕元にスマホを置くとほんの少し眠気に負けて静かになる彼にそっと声をかけた。
「ねぇ、秋」
『ん?どうした?』
トロンとしてちょっぴり甘く聞こえるいつもより低い彼の声。
そんな彼に、好きの気持ちが溢れそうになって口を閉ざした。