大好きだから、キミの前では笑っていたい。
◆臆病者は後悔を嘆く

「え?今、なんて言ったの?」



あれから三日後の朝。
学校に着いてすぐ、秋に階段付近に連れて来られた私は予想だにしていなかったことを耳打ちされた。



「っだから……、一組の愛夏 (あいか) と付き合うことになった」



恥ずかしいから何度も言わせるな、と頬を朱に染めた彼が照れくさそうに呟く。



どこか幸せそうな彼とは対照的に暗くなる私。少しでも平静を装うと口角を上げて見せるけど、発した声は震えてしまっていた。



「そ……なんだ」



「昨日電話で告られて。それで今週末デートすることになったんだけどさ、女子ってどういうのが好きなのかわかんないから聞きたくて」



「……」



「初デートだし、華音の意見を聞かせてほしいんだけど……」



厳しい意見でもいいから!
そういう彼の表情はとても真剣で、本気で好きなんだと思わざるを得なかった。

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