大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「……ちょっと、ごめん。あとでもいい?」
「えっ。……ちょっ、華音!?」
耐えられなくて、そのまま階段を駆け下りる私。
今だけは校内を走り回ること許してほしい。
だって……、我慢できるわけないじゃん。
好きな人に、好きな人がいることすら知らなかったのに。彼女が出来た、なんて。
耐えられるわけがない。
廊下を走り抜けて、朝に来る者はいないであろう図書室へと足を進めた。
遅刻と欠席の多い学年だから、八時十五分を過ぎた今でも人が疎らで助かる。
もう一度、今度はさっきとは反対側に位置する階段を上り、四階にある図書室へと速やかに移動する。
この階段からは、図書室はすぐそこ。目と鼻の先。
四階に着けば、その距離は一メートルにも満たない。