大好きだから、キミの前では笑っていたい。

自分が彼女と同じ立場なら、絶対に同じことをしているであろうに。



醜い嫉妬が、ちいさなことで怒りを生み出した。



「……あっ、もうすぐチャイム鳴っちゃう」

「本当だな」

「先生に見つかったら怒られちゃうし、もう行くね」

「まだ、待ってよ。……あと一分くらいいいじゃん」



大人しくて真面目な性格の彼女は、そそくさと教室から出ていこうとするが、それもすぐに秋の声に引き止められてしまった。



放課後遊んだとき。

寝落ち通話をしたとき。



私がそんな言葉をかけられたことは、一度もなかった。



……ずるい。本当に。
今まで濃い絡みはしてこなかったくせに、付き合った途端見せつけるように仲良くし始めるなんて。

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