大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「華音!!」
闇夜に沈んだ心に、突然飛び込んできた声。
息を切らし、焦りを含むその音に思わず振り向けば、肩で息をする姿が視界に映る。
会いたくて、会いたくなくて。
……でも、やっぱり一番会いたかった人。
「秋!?どうして……」
「なんか……っ、今日、ずっと変、だったから......っ。大丈夫か、心配になって」
まだ整っていない荒い息遣いで、彼は言葉を紡ぐ。
わざわざ心配して来てくれた、その事実が私の心を狂わせる。
騒がしいくらいに胸がドキドキと音を立てた。
「私は別に……。大丈夫だよ」
心配してくれて嬉しい、なんて場違いなこと考えたらダメだ。
……笑え。平静を装って。
祝福の言葉を送れそうにないなら、せめてこの場だけでも強がって笑って見せなきゃ。