大好きだから、キミの前では笑っていたい。

「いいよ」



はい、とクレープを差し出して、お互いのクレープに齧り付く。



バナナの甘さが口に広がる。
幸せでじんわりと心が温まるのを感じると同時に、視界に映りこんだ彼。



食べかけのクレープを頬張る彼は、とても幸せそうな笑みを浮かべていた。



それを見て、思う。



これ……、間接キス、だ。



意識すればするほど、熱くなる頬。恥ずかしくなって顔を背ければ、髪に指先が触れる感覚。



驚いて振り向けば、目を丸くした彼と視線が交わった。



「……ヤだった?」

「えっ、やっ、ビックリしただけ……」



ポツリとそう返せば「そっか」と焦ったように笑う彼。



秋とは高一からの付き合いだけど、時々今みたいに変な空気が流れることがある。

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