大好きだから、キミの前では笑っていたい。
彼は、私の荒ぶった心の正体を“もう友達でいられなくなる”と架空の未来を想像した結果の悲しみだと捉えたらしい。
正解のようで間違っているその回答に複雑な心境を抱くと同時に、先程の彼の行動を思い返す。
──あの手は、きっと本来ならば私の頭の上に乗っていたはずだ。
慰めるとき、彼はいつも優しく頭を撫でてくれるから。
でも、さっきはそれをしなかった。
それが何を表すのか、彼の口から言われなくてもわかる。
彼はしっかりと線引きをしたのだ。
“友達”と“恋人”の境界線を歩んでいた、自分たちの関係に。
半歩遠い距離に、私を置いた。
それは言葉で表現することが出来ないほどに辛くて、悲しくて。
「やっぱり……、無理だよ」
「えっ?……華音!?」
──耐えられそうになかった。