大好きだから、キミの前では笑っていたい。
◆心からのエールをキミに捧げる
「待てよ!華音!!」
「離して……っ!!」
懸命に足を動かして、息を切らして……。
やっとの思いでたどり着いた自宅の前で、私は彼に捕まっていた。
頬を伝う冷たい雫に、思考の停止した頭はどんどんわからなくなっていく。
「泣いてる理由話すまで、離さねぇから」
「……っ。もう、辛いの!!」
叫ぶように心のままに想いを吐けば、掴まれた手首の力が少し弱まる。
顔を上げれば、予想とは裏腹に落ち着いている彼がそこにはいて。
「やっと話してくれた」
そう告げる彼は、とても優しい笑みを浮かべていた。
その笑顔は、きっと私にとって魔法で。
グチャグチャになった心がスーッと解けていくような、そんな感覚がした。
「全部教えてよ。俺が受け止めるから」
柔らかく微笑むその顔が、愛おしい。
“大好き”が、溢れてくる。