大好きだから、キミの前では笑っていたい。

「秋」



今まで何度も口にしてきた二文字。



だけど、この二文字にこんなにもたくさんの想いを乗せたことは今までだってなかった。



きっと、最初で最後の音色──。



「ありがとう、好きになってくれて。一度きりでも両想いになれたこと、本当に嬉しい。……こんなにも好きにさせてくれて、ありがとう」

「俺の方こそ。ずっとずっと、好きでいてくれて、ありがとう」



差し出された右手に、迷いなく同じ手を重ねて、私たちはふたりにしかない愛の言葉を伝えあった。



「愛夏ちゃんのこと、幸せにしてあげてね?」

「もちろん」

「……ふたりが、幸せな日々を送れること……っ、今は難しいかもしれないけど、ちゃんと応援してるから……っ」

「華音……」



ダメだ、泣いてたらいけない。
ちゃんと応援しなきゃ。好きな人の背中を押せて、初めて“恋”は“愛”に変わる。

< 37 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop