大好きだから、キミの前では笑っていたい。
独りよがりの恋は、今日でお別れだから。
明日からは彼の友達としてそばにいるために、この恋をひとつの大きな愛としてカタチを変えてみせる。
そしたらきっと、抱え切れそうにないこの想いを過去に出来るだろうから。
「これからも友達としてよろしくね?」
「華音」
「なに?」
「……ありがとう」
重なった視線の先で、彼が切なげに瞳を揺らす。
その言葉に、どれだけの想いが込められているのか、どんな気持ちが含まれているのか、私にはわからなかったけれど。
短いメッセージを乗せた音は僅かに震えていて、胸が締め付けられるように苦しくなった。
それをひた隠しにするように、私は口角を上げて笑って見せる。
「うん!こちらこそ、聞いてくれてありがとう!じゃあ、また明日!」
細めた視界に映りこんだ彼は笑っているような、哀しんでいるような表情をしていたけれど、私は気づいていないフリをして彼に背を向けた。