大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「ん、手出せ」
ゲームセンターに着いてすぐ、突然横にいた彼がそんなことを言い出した。
差し出された右手に戸惑いが隠せない私。
「えっ?」
「繋いでないとなんか落ち着かないし」
いいから出せ、と言わんばかりに掴まれる手首。
そういうことか、と遅く理解して数秒。
掌をギュッと男の子の手に包み込まれた瞬間、私の顔に熱がこもった。
何度も手を繋いだことはあるのに、未だに慣れない私。
友達としての関係を築きすぎたあまり、今では日常化してるもののひとつ。
だけど慣れないのは、私が彼のことを好きで好きで仕方がないから。
同じことでも認識が違えば、意味だって変わる。