大好きだから、キミの前では笑っていたい。

「ん、手出せ」



ゲームセンターに着いてすぐ、突然横にいた彼がそんなことを言い出した。



差し出された右手に戸惑いが隠せない私。



「えっ?」

「繋いでないとなんか落ち着かないし」



いいから出せ、と言わんばかりに掴まれる手首。



そういうことか、と遅く理解して数秒。



掌をギュッと男の子の手に包み込まれた瞬間、私の顔に熱がこもった。



何度も手を繋いだことはあるのに、未だに慣れない私。



友達としての関係を築きすぎたあまり、今では日常化してるもののひとつ。



だけど慣れないのは、私が彼のことを好きで好きで仕方がないから。



同じことでも認識が違えば、意味だって変わる。

< 6 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop