大好きだから、キミの前では笑っていたい。
「あっ、エアホッケーある。やろーぜ!」
「……やる。やりたい!」
彼の指差した先を見て、胸が躍った。
繋いだ手をそのままに私たちは台のそばに歩み寄る。
どちらからともなく外された手は、台の上にあるマレットへと伸ばされた。
小銭を投入口に入れると流れるリズミカルな音楽。
横から飛び出すように現れた円盤を勢いよくマレットにぶつけて跳ね返す。
彼の慌てる素振りに笑っていると、盤上では冷静にパックを返され少し焦る。
その姿に尊敬に似た何かを感じ取る。
長いラリーが続くにつれ、私たちの笑い声も大きくなっていく。
プラスチック同士の衝突音が心地よくて、目の前にいる彼のあまり見ない慌てた素振りが微笑ましくて。
私は間違いなく、この空間を幸せだと感じていた。