大好きだから、キミの前では笑っていたい。

「楽しかったなー!」

「そうだね」



ゲームセンターで思う存分遊び尽くした私たちは、百貨店を出るといつもの別れ道までゆったりと歩いた。



──この時間がずっと続けばいいのに。



ゲームセンターの中で、何度そう願ったかわからない。



どうしたって叶わない願いはやっぱり儚く散り、私の心に寂しさを残す。



「じゃあ、また明日な」

「うん。またね」



お互いに手を振り、背を向け合ったあとは自分の進むべき道へ足を動かす。



大好きな人と一緒にいたあとの帰り道は、やけに心細い。



真冬には程遠い季節のはずなのに、身体の芯が一気に冷えていくのを感じる。



……汗、かいちゃったのかな。



冷静な頭はすぐにその答えを導き出す。

< 8 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop