あなたには何が見える?
「優斗!勝手にいなくならないでよ!心配したじゃない!」
「母さん、ごめん、ちょっと目が覚めちゃって、ここがどこなのか散歩してた」
病室に戻ると案の定母親が来ていた。
母によれば俺は大学の食堂で突然倒れ救急車に運ばれてこの病院に来たらしい。
詳しいことは精密検査をしてみないと分からないらしいので、とりあえず入院という形を親がとったようだ。
そして母がトイレに行っている間に俺が目を覚まして、今に至る。
そういえば、彼女は一体誰だったんだろう、見た目は高校生のようにも見えたが、今のところわかっているのは「山本」という名字だけ、
あの子も病室に帰ったということは入院しているのか、
車椅子に乗っていたし足を怪我しているのかもしれないな、
同じ病院にいるんだからまた会う機会もあるだろうし、その時にまた話せばいいか。
ベッドに座り母にもらったお茶を飲みながら自分の身体の心配を忘れ、そんなことを考えながら天井を見上げると沈みかけた夕日がコップのお茶に反射して綺麗な模様が映し出されていた。
「…綺麗だな。」
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