超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「そうなんですか?」
「そうなんですよ」
何度もうなずくお客様にそういうものなんだなぁと受け入れる。
「って、すみません。ゆきちゃん話しやすくて仕事の邪魔しちゃって……」
「大丈夫ですよ。いまはお客様ひとりですから気をつかわないでください」
「ゆきちゃんって優しいね」
ナチュラルに“ゆきちゃん”って呼んでいることにドキッとする。
けど、嫌な気は全くしない。
距離をつめるのがとても上手な人だ。
すぐ心を許してしまうような、そんな魅力がある。
「あと、おれは空野颯って言うの。お客様じゃなくて名前で呼んでよ」
「あ、かしこまりました」
「ふふっ、ゆきちゃん固いね」
だって初めて来てくださったお客様だもん。