超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




「それで、どうしたの?なにかあった?最近会えてないし連絡もとれてなかったから、話せてないし」


カウンターに肘をついてわたしを見上げる。

その瞳は真っ直ぐで吸い込まれそうなほど深く綺麗。



「おれ、ゆきちゃんのことならなんでも知りたいんだけど」


微笑みながら優しい声でそんなことを言われてなにも言わない人はきっといない。

それはわたしも同じで自分から話し出す。



「あの、文化祭が2週間後くらいにあるんです……」

「いいね、文化祭。アオハルって感じだ。おれは参加したことないから」



空野さんの目が輝いているように見える。

本当に参加したことがないんだ。


芸能人って学校行事に参加できないこともあるんだなぁ。
それだけ空野さんが売れっ子だということでもあるんだろうけど。



「それで、なにするの?」

「……劇、です……シンデレラの……」


こんなにわくわくした様子の空野さんには言いにくいな。

恥ずかしすぎる。




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