超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
そんなわたしの気持ちに気づかず、ますます目を輝かせた。
「もしかして、ゆきちゃん主役!?シンデレラ役なの!?」
「は……はい……」
頷きながら俯く。
けど、空野さんは興味をもってくれたみたいで顔をぐいっと前に出す。
「やっぱり!ゆきちゃん似合うもん!ヒロインだもん!!」
「そんないいもんじゃないです……演技もワルツも下手くそでみんなに迷惑かけてて……」
「じゃあ、おれと練習する?」
「え……?」
突然の提案に驚いて顔を上げると、キラキラした表情の空野さん。
その表情にはどんな意味があるのかわたしにはわからない。
けど、すごく楽しそうだ。
「劇の練習って文化祭に参加してる感じじゃん。それにこれでもおれ、ドラマや映画、舞台の経験もあるんだよ」
その言葉にハッとした。
空野さんはアイドルだけど、元々は子役上がり。
小さいころから演技をしていた。
見たことはないけど、プロだから上手いに違いない。