超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。



そんなわたしの気持ちに気づかず、ますます目を輝かせた。



「もしかして、ゆきちゃん主役!?シンデレラ役なの!?」

「は……はい……」


頷きながら俯く。

けど、空野さんは興味をもってくれたみたいで顔をぐいっと前に出す。



「やっぱり!ゆきちゃん似合うもん!ヒロインだもん!!」

「そんないいもんじゃないです……演技もワルツも下手くそでみんなに迷惑かけてて……」

「じゃあ、おれと練習する?」

「え……?」


突然の提案に驚いて顔を上げると、キラキラした表情の空野さん。

その表情にはどんな意味があるのかわたしにはわからない。
けど、すごく楽しそうだ。



「劇の練習って文化祭に参加してる感じじゃん。それにこれでもおれ、ドラマや映画、舞台の経験もあるんだよ」



その言葉にハッとした。

空野さんはアイドルだけど、元々は子役上がり。

小さいころから演技をしていた。

見たことはないけど、プロだから上手いに違いない。



< 106 / 400 >

この作品をシェア

pagetop