超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「……これ、持って帰るから包んで」
ミックスジュースを飲み干してから立ち上がる。
複雑にあふれだす感情を押し殺して平静を保ち言われた通り、フルーツサンドは包んで海成くんに渡してお会計をした。
海成くんが出て行ったあとも、頭の中で繰り返される。
『颯の未来を潰すようなことだけは絶対にすんなよ』
空野さんのことを思っての言葉。
わかってる。
わたしが潰していいわけがないんだから。
本当は、空野さんの言ってくれた言葉を信じたかった。
『ゆきちゃんと距離をおくのはいやだ』
うれしかったんだよ。
すごくうれしかった。
わたしも距離をおくつもりなんてなかった。
いまでもそんなことはしたくない。
だけど気づいてしまった。自分の恋心に。
そうなると話は別だ。
この気持ちは止めないといけない。
もう……いままで通りでなんかいられない。
その日の夜、空野さんからメッセージが来たけど、初めて未読無視をした。