超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「いつ、会ったの?」
「………………昨日」
沈黙のあと、蚊の鳴くような小さな音で声を出す。
昨日……ってことはもしかしなくてもこれは……。
「ゆきちゃんに、なに言った?」
思ったより低い声が出た。
睨むように海成を見れば怯んだみたいで、少し体を引いた。
「べつに……」
「言ったよね?だから、ゆきちゃんは返事くれないんじゃないの?」
「……言ったよ。颯と会うなって、連絡するなって。颯の未来を潰すなって。住む世界が違うんだって!だけどそれで返事しないならそれまでってことだろ!?」
「ふざけんなよ!」
開き直って逆ギレしてきた海成の胸倉をつかむ。
ふざけんな。
「ゆきちゃんは優しい子なんだよ。おれのこと知らなかったけどすごく優しくしてくれて、知ったあとも変わらない態度で接してくれた」
そのことがおれにとってどれだけうれしかったか。
救われたか。
ゆきちゃんの純粋な気持ちに触れることがどれだけあったかくて幸せな気持ちになれるか。
「やっと見つけたのに。安らぎをくれる人を、癒しを与えてくれる人を」
おれがいままでどんな気持ちでゆきちゃんといたと思ってるんだよ。